いけずのいけす

すっきり整った暮らしを夢想するアラサーゆるゆるオフィスレディです。

日記

インビジブルワイヤレスワールド

飛行機に乗ったときふいに斜め後ろの席を見ると、並んだ3人全員が有線イヤホンを使って映像を視聴していた。有線イヤホンで人と機械が物理的に「接続されている」様子は、SF小説の場面を思わせる。精神はVR世界にあり、現実世界の体は機械の中で眠っている、…

デジタルデトックスしたところで

生活を送るうえでは空白の時間というのがしばしばある。ATMに並んでいるあいだ、飲食店で料理が来るまでのあいだ、エレベーターに乗っているあいだのような。何をするでもなく、ぼんやりとしている時間。 ただ、今はそんな数十秒のあいだにすら、スマホを見…

防弾ジレが流行る日は来るか

近所のスーパーの前を通りかかると、駐車場誘導員のおじいさんたちが談笑していた。曰く「防弾チョッキを着ていけば大丈夫」らしい。なかなか日常生きていて使わないフレーズに、誘導員の仕事の苛烈さを思った。実際、何の話をしていたんだ? 続けて思ったの…

非日常のためのものもの

年末年始に実家に帰ると、年が明けた元日の朝にはお正月料理が出てくる。 美味しいのか判断に迷う縁起物が色々入ったおせち…ではなくて、椀物を主役に副菜がいくつか、といった構成で、今年の献立は、お雑煮、黒豆、栗きんとん、海老あんかけ、大根とサーモ…

服は熟考して買いたいのだが

喪服というのは急に必要になるものだ。4年前に祖母が急逝したときに慌てて調達したそれは、ここ数年で立て続けに祖父母が亡くなったことで、定期的に出番があったのだが、一通り区切りがついてしばらくはクローゼットで眠ることになりそうだった。なるべく服…

ざんしんなめいがのおもいで

春先の話で恐縮だが、SOMPO美術館で開催していたモンドリアン展に行ってきた。 特定の人物の名を冠した美術展であっても、その人物の作品が思いのほか少なくてがっかり、というのは展覧会でよくあることだが(ビッグネームだと特にその傾向が強い)、本展は…

冬のベランダを泳ぐ鯉

家の近所に、洗濯物を竿に通して干している家があった。 トップスは竿が両腕を貫く形で1本で、ボトムは片足に1本ずつ通して計2本の竿で干されていて、干す作業はハンガーを使うよりも大変そうだと思った。何かこだわりがあってそうしているのだろうか。真横…

今年買ってよかったもの

ブログの更新というのは、一度サボり出すと止まらない。前回更新したのが8月で、今は気づけば年の瀬も年の瀬、12月30日だ。 誰に請われたわけでもないが何でもいいから文章を書かねばという気持ちはあるものの何を書いたらいいかネタがないんだよな〜という…

手仕事の楽しさ

あとほんの、0.1mm。繊細な作業に集中している顔は美しい。 先日、絵画修復の体験教室に行った。午前中は座学、午後は体験という構成で6時間。体験では絵画の欠損を埋めたパテを削り、その上に着彩する作業を練習板を使って行ったのだが、これが面白い。剃刀…

中野、シルクロードの果て

ゴールデンウィークはウズベキスタンに行く予定だったが、今年は不可能だったのは言うまでもない。砂塵舞う悠久の大地への思いを諦めきれず、私は中野へ向かった。ウズベキスタン料理屋の「ヴァタニム」を訪れるためである。 ネットのレビューでは複数の書き…

エントロピーは増大するのか

エントロピー(乱雑さ)は増大するという自然の摂理がある以上、家が散らかるのは仕方ないというのが、片付け下手な母の理論だ。 「エントロピーが高い」とは=乱雑である=ランダムである=偏りが少なく、一様ということなので、例えば水とお湯をまぜた直後…

物の行く先と来し方

TVの調子が悪い。休止状態から電源を点けようとしたとき、時々画面が映らない。真っ暗なときもあれば、グレーで音声だけ流れるときもあるが、何にしても使えないことに変わりはない。裏側を見れば2007年製とあったので、そろそろ寿命ということか。 折しも春…

住めば都とはこのことか

ツイッターで募集のあったエッセイ集に寄稿した。自分が住んで暮らした街について書くというものだ。 note.com 東京に長らく住んできたのでそれなりに知っていることがある一方で、地名すら知らない街もごまんとある。今回は9人が原稿を書いているが、その中…

玄米七号食ライフログ

3月末から在宅勤務になってランチも会食も飲み会も無くなったので、これを好機とばかりに七号食ダイエットを行った。10日間玄米だけ食べるというダイエットというか、デトックス手法である。その結果と、所感を記す。 まずは結果からいうと 10日目には初日-2…

無人島でのたいらかな暮らし

無人島暮らしを始めた。言うまでもなく、Nintendo Switchの「あつまれどうぶつの森」を買ったのである。 どうぶつの森シリーズは、2001年発売のNINTENDO64「どうぶつの森」からずっと追い続けている唯一のゲームで、もう20年の付き合いになる。初代、森+、e+…

婚姻届提出に寄せて

転居を機に婚姻届を出した。結婚式から2年以上、事実婚状態のまま引っ張ってきたが、遂に年貢の納め時というわけだ。婚姻届提出に伴い私には苗字変更の義務が生じたが、これが本当に苦痛で、今なお全くポジティブに受け止められていないことを記しておく。 …

晴れた冬の陽、薫る紅茶

マンダリンオリエンタルのオリエンタルラウンジで、アフタヌーンティーを嗜んだ。 天気は冬の東京らしい快晴で、有給を取ったこともあってこのうえもなく清々しい。38階のラウンジに着き、案内された窓際の席からは、青い空のもと陽光を受けて光る街並みが遠…

我らいずこに住むべきか

来週、引越すことにした。京葉線の奥地から、今度は一気に山手線の輪の中だ。 今の部屋は畳もあってお気に入りだし、家賃は安いし、周辺環境も良いし、何より駅の近くに大変美味しいケーキ屋があって、ただ一つ東京が遠いこと以外は目立った不満はなかったの…

美と時間を金で買う

稼いだ金銭の使途を「消費」「浪費」「投資」に分けよという教えは、お金の使い方をレクチャーする本でよく出てくる。思えば浪費を重ねてきた人生であったことよ、諦めの気持ちすらある中で、これは人生最良の投資であったと確信しているのは全身脱毛だ。 ト…

入居のときより身軽な私

賃貸住まいの秘訣は、物を増やさないことに尽きる。物が増えると、賃貸の最大の利点である身軽さが損なわれてしまうからだ。経済状況や就労状況が変化したのに、引っ越し作業に手間がかかるから転居を躊躇うようではいけないだろう。 その家に入居したときよ…

高貴なる青き血、その蒐集

ハプスブルク展に行ってきた。 欧州が誇る名門、ハプスブルク家の歴代当主たちが蒐集したコレクションに焦点を当てた展示で、絵画作品を中心にキリよく100点の美術品が来日している。 作品それ自体が有名なのはベラスケスの「青いドレスの王女マルガリータ・…

高邁な理想

民間英語試験導入の是非が話題だ。 個人的には導入には全くもって賛成出来ないのだが、それはさておき導入延期になった理由としてよく取り上げられているのが「地域格差」と「経済的負担」である。なるほどそれも大いなる課題ではあるものの、一番の問題は「…

クマノミはイソギンチャクと共生しているというのは本当だった

世間が即位礼正殿の儀に向けて盛り上がる中、同祭事のため有り難くも火曜が休みとなったことを活かして月曜も有給を取得して4連休を作り上げ、フィリピンはセブ島に出かけた。私もアラサーなわけなので、朝から晩までガツガツ活動する旅行だけでなく、リゾー…

中国っぽい国

ファンタジー作品に時折登場する、中国モチーフの国が気になっている。 それらの国はたいてい、主人公のいる国から地理的に離れたところにあって、強大な権力を持った皇帝が治めており、人々はいくらかゆったりとした衣服に身を包んでいて、両手を前で組み合…

You must be the change you want to see in the world.

雑誌を読んでいたら「通夜やお葬式では黒ストッキングがマナー。防寒のためにタイツを履くのは、亡くなった方への礼儀よりも自分のことを重んじていると受け取られる」という記述があったが、こんなに馬鹿らしいマナーもないだろう。 マナーというのは「自分…

美味いティラミスを食べたければサイゼリヤに行け

タイトルそのまんまだ。 最近サイゼリヤのティラミスが「ティラミスクラシコ」としてリニューアルしたのだが、これがたいへん美味しい。 しかも価格は300円。この値段でこの出来栄えだと、最早ちょっとしたレストランで食べる意義を全く感じない。世間のティ…

足袋を繕う

無印良品のはかまパンツを買った。 一見プリーツワイドパンツだが、ひだの数を数えると前は5本、後ろは2本といういかにも袴らしいディティールがたまらない逸品である。 ただこのひだが曲者で、プリーツ加工がされていないのか、1日着用しただけで「正しい折…

何は無くともグランピングは楽しい

グランピング【glamping】グラマラスとキャンピングを掛け合わせた造語。ホテルステイの快適性と、キャンプならではの自然体験のいいとこ取りをしたレジャー形態の一つ。 自然を満喫したいけど、テントを張ったりとかは面倒くさいし、夜はふかふかのベッドで…

待ち時間を取り戻す

街中でふと辺りを見渡したとき、スマホを操作している人を見つけない方が難しい。電車や信号の待ち時間はもちろん、歩きながらすいすいやっている人も本当に多い。 十二単と扇のセットは平安時代、髷に打刀二本差しなら江戸時代、男女とも洋服和服入り交じっ…

わたしのためのあなたのため

あなたのためを思って、という言葉は魔法だ。 人間関係を崩壊へと導く強力な魔法である。 たとえどんなに自分勝手な主張であっても「これはあなたのためを思って言っているんだ」という免罪符さえあれば、その勝手さはたちまち「思いやり」というベールに包…