いけずのいけす

すっきり整った暮らしを夢想するアラサーゆるゆるオフィスレディです。

高貴なる青き血、その蒐集

ハプスブルク展に行ってきた。

欧州が誇る名門、ハプスブルク家の歴代当主たちが蒐集したコレクションに焦点を当てた展示で、絵画作品を中心にキリよく100点の美術品が来日している。


作品それ自体が有名なのはベラスケスの「青いドレスの王女マルガリータテレサ」と、ルブランの「フランス王妃マリー・アントワネットの肖像」の2点だと思うが、そのほかの作品群も作者名を見ればやれクラーナハだ、デューラーだ、レンブラントティツィアーノだと巨匠揃い。蒐集者の溢れる熱意と、圧倒的な財力が伝わってくる。
こんなビッグネーム達の作品が一度に見られる機会は日本ではなかなかないので、それだけでも行く意味があるだろう。


政治面あるいは芸術面において成果を残した当主を紹介しつつ、コレクションを並べていくという展示スタイルを取っているので、肖像画の数が多いのも特徴的だ。
肖像画はサイズ・ポーズ・モチーフにある程度フォーマットがある分、画家の技量が比較しやすいところと、「遊び」の部分で個性が出るところが面白い。上着の生地のしっとりとした質感とともに、それを纏う者の確かな地位が伝わってくるような圧巻の肖像画もあれば、なんだこののっぺりしたマント?カーテン?みたいな感想を抱きたくなる肖像画もある。要は、同じような絵がたくさんあるので上手い下手が分かり易くて楽しいよねということだ。


物販コーナーでは、そんな魅力的な肖像画たちをモチーフにしたグッズも多数売られている。なかでもおすすめは長場雄さん描き下ろしイラストのもの。
これ。
このゆるさを見てください。思わずバンダナを買ってしまいました。


個人的には、コルネリス・ド・ヘームの静物画「朝食図」が見られたのも印象深い。大学で取った西洋美術史の期末課題でヘームの「果物籠のある静物」(こちらは同じ国立西洋美術館の常設展にある)を題材にしたはいいが、全く内容が思いつかずに「これはこじつけでは?」感に満ちたレポートを作成したほろ苦い思い出が蘇った。ヘームの作品を見るのはこれでようやく2つ目だ。他にはどこにあるのか、今度調べてみようと思う。

 

ハプスブルク展|600年にわたる帝国コレクションの歴史

上野の国立西洋美術館にて、1月26日まで開催。