いけずのいけす

すっきり整った暮らしを夢想するアラサーゆるゆるオフィスレディです。

You must be the change you want to see in the world.

雑誌を読んでいたら「通夜やお葬式では黒ストッキングがマナー。防寒のためにタイツを履くのは、亡くなった方への礼儀よりも自分のことを重んじていると受け取られる」という記述があったが、こんなに馬鹿らしいマナーもないだろう。


マナーというのは
「自分の好みや欲求に従って好きに振る舞いたいという気持ち」
よりも優先順位は上だが、
「自分の肉体・精神を生物として最低限快適に保ちたい気持ち」
よりは下だ。
寒さを堪え、肉体に負荷をかけてまで守るべきマナーなど存在しないと思う。


だいたい、法要なんかをやる冬の寺というのは、壁が薄い(板戸か、それか障子なので無理はない)し床は板張りだしで、機密性の高い現代建築に慣れきっている私たちにとっては、そうそうない底冷えがする寒さを味わえる場所だ。
そんなところに通年用のワンピースセットアップなんぞで乗り込んで、しかも法要中はじっと座っているのだから、せめてタイツでも履いて最低限の防寒はしておかないと「とにかく寒い」ということに頭が支配されてしまって、葬儀や法要に集中できなくなる。そうなったら本末転倒で、それこそ礼儀を欠いていることになるだろう。


真夏のジャケットにしたってそうだ。

酷暑に耐えてでも客先では着るのがマナーという風潮があるが、まったく馬鹿馬鹿しい限りである。マナーを守って体調を崩していたのでは世話がない。いや海外のエグゼクティブを見たまえ、暑くても皆然るべき場ではジャケットを着ているではないか、という意見もあるかもしれないが、それは社会的立場ある正にエグゼクティブだからであって、しがないサラリーマンにまでその姿勢を求めるのは間違っている。そもそも、西岸海洋性気候の国の服飾文化を、温帯気候の日本にそのまんま導入しようというのも無理な話だ。服というのは気候帯が影響を与える最たるもので、高温多湿であればぴったりと体に沿うのではなくてゆったりと風通しよく、締め付けない服が向いている。そう、着物って奴だ。着物というのはまさしく日本向きの衣類だと、炎天下で肌に貼り付いたシャツを見るとしみじみ思う。


それでも夏場のビジネスウェアについては、クールビズ導入から10年以上経ったこともあって、だいぶ軽やかになったのだろう。


マナーの名の下にまかり通る不合理が、社会全体で少しずつ減っていくことを願っている。願うばかりでなく、自らも行動で示していくつもりだ。ガンジーもそう言ってるしね。


※冒頭の雑誌はクロワッサン10/25号。主婦の友達、クロワッサンはprime readingで読めるので、だいたい毎月読んでいる。今月はマナー特集ということで、今回取り上げたもののほかにも謎マナーがたくさん載っているぞ。