いけずのいけす

すっきり整った暮らしを夢想するアラサーゆるゆるオフィスレディです。

服は熟考して買いたいのだが

喪服というのは急に必要になるものだ。

4年前に祖母が急逝したときに慌てて調達したそれは、ここ数年で立て続けに祖父母が亡くなったことで、定期的に出番があったのだが、一通り区切りがついてしばらくはクローゼットで眠ることになりそうだった。

なるべく服の数を減らしたい自分としては、1年に一度着るか着ないかという使用頻度の低い服、しかも着ても愉快な気持ちにならない服を持っておくのは、無駄なことに思えて仕方なかった。一度着たあと、次にいつ着るか予測ができないので、結果毎回クリーニングに出さないといけないのも煩わしい。
だからといって喪服を持たないという選択肢もないだろう。然るべきときには、然るべき格好をしなければならない。
ただ、家のクローゼット内は夏季の湿度がやたらと高く、出し入れしない服はあっさりとカビるので、死蔵している服があるという状況は常にそれなりに気がかりなのだった。

それをついに決心して買い替えたのが先日のことだ。
ノーカラージャケットと、トップスと、膝下丈のマーメイドスカートという3点セットに切り替えた。服屋での扱いとしてはブラックフォーマル(要は喪服)なのだが、いずれも飾りブレードなどの装飾のないごくシンプルなデザインであり、単体なら普段も使えそう。というかもう使っており、オフィスに着て行っているし、私服としても登場済で、もはや「使い勝手がいい」と評してもいいくらいである。しかも洗濯機で洗えるので、手入れの手間も削減された。良いことづくめだ。

それにしても、最初から考えて買っておけば、買い替える必要などなかったものを。
「いつか使うから」という理由で今すぐ使わないものを買うのは馬鹿げたことだ、必要になったらそのとき買えばよい、というのがわたしの基本思想だが、こと喪服は「必要性が生じる」タイミングと「実際に必要」なタイミングにほとんど間がないので、必要性が生じてからは吟味している余裕がない。こればっかりは、必要に迫られる前に買っておくべきものだったな、と思う。

なお、買い替えによりクローゼットから取り出された旧喪服はメルカリに出すつもりで、商品写真を撮りながらコンディションをチェックしていたらカビていた。いざ着るときになってカビを発見する、という悲劇が生じる前に買い替えて良かったと思いつつ、そっと処分したのだった。