いけずのいけす

すっきり整った暮らしを夢想するアラサーゆるゆるオフィスレディです。

クマノミはイソギンチャクと共生しているというのは本当だった

世間が即位礼正殿の儀に向けて盛り上がる中、同祭事のため有り難くも火曜が休みとなったことを活かして月曜も有給を取得して4連休を作り上げ、フィリピンはセブ島に出かけた。私もアラサーなわけなので、朝から晩までガツガツ活動する旅行だけでなく、リゾートでのんびりする旅行の面白さも分かっていい頃じゃないか、そう思って企画したものだ。

セブ島を選んだのは、直行便があり、フライト時間が短い(5時間くらい)という理由による。3泊4日は長いようで短いので、極力ロスが少ない場所を選んだ。


さてセブ島のホテルだが、都市部に建つ高層型シティホテルと、海沿いに並ぶヴィラ型リゾートホテルとに大別される。今回はいわゆるザ・リゾート気分を味わいたかったため、マクタン島のマリバゴブルーウォーターに宿泊した。

 

リゾートホテルは概して広く、宿泊棟、大小のプール、レストラン、スパ、ジム、プライベートビーチまで全てがその敷地内にあるため、敷地から一歩も出ることなく一日を過ごせる。朝起きて、朝食を食べ、プールで泳いで、海辺で本を読んで…シティホテルでも内容的に同じことは可能かもしれないが、リゾートホテルでは同じ「敷地内」だが同じ「建物内」ではないので、シティホテルにはない開放感が味わえる。建物がどれも低層で、のびのびしているのもいい。


ただ、買い物なんかをしようと思ったときには外に出ることになる(敷地内にもショップはもちろんあるが、ホテル価格だ)。すると驚くのが、敷地の外と中があまりにも違っていることである。信号のない道路を排ガス規制何のそのといった風情の車やバイクや乗合バスが行き交い、未舗装の歩道に沿ってバラックのような建物がぎゅぎゅっと並んでいて、その辺を鶏が歩いていたりする。美しく整備されたホテル敷地内とは全くの別世界が広がっているのだ。というか国土の大半はこうした「アジアの新興国」的な雰囲気の町が広がっていて、そこに突然外部と隔絶されたリゾートホテルがあるというのが正しい。外部との交流を拒み、内部で全てが完結する、リゾートホテルはさながら城塞都市である。


今後もフィリピンの発展(≒平均所得の上昇)が続けば、ホテル内外のギャップは徐々に小さくなっていくのだろう。かつての城塞都市は城壁を取り壊すことによって中世以来の旧習と訣別し近代的な都市へと発展したので、いわば都市の外部を内部化する動きをしたといえるが、ここはどのように変わっていくのだろうか。ホテルには外部に向けて拡張する動機がさほどないだろうから境界とその内部は変わらずに、外部が目まぐるしく変わっていくのだろうが…。また来たとき考えてみようと思ったけれど、その頃には私が考えるまでもなく、風景が答えを自ずから語ってくれる可能性が高い。

 

何が目的で来たわけでもないリゾート地で、何をするでもなく海を眺めていると、こんなとりとめのないことをぼんやりと想像していられるのがいい。

人間の思考には休息が必要だと感じた旅立った。

 

 

タイトルは、離島で行ったシュノーケリングでイソギンチャクの間を泳ぎ回るクマノミの姿を見たため。別に疑っていたわけでは全くないのだが、何せ今まで水族館でしか見たことがなかったため「イソギンチャクと共生するクマノミ」というのはどこか人工物・創作物の中でのモチーフのように感じていたのだ。「梅に鶯」「紅葉に鹿」みたいな感じだ。あるいは水族館向けの演出といえばいいか。

ところが、そのへんの海の中でもクマノミはイソギンチャクのあたりをすいすい泳いでいた。自然ってよくできてるなって思った。