いけずのいけす

すっきり整った暮らしを夢想するアラサーゆるゆるオフィスレディです。

中国っぽい国

ファンタジー作品に時折登場する、中国モチーフの国が気になっている。

それらの国はたいてい、主人公のいる国から地理的に離れたところにあって、強大な権力を持った皇帝が治めており、人々はいくらかゆったりとした衣服に身を包んでいて、両手を前で組み合わせて礼をしたり、カーブした刀やクナイを武器にしたりといった独特のふるまいをする。


例えば、鋼の錬金術士でいうところのシン国であり、マギでいうところの煌帝国だ。いずれも公式に明言されることこそないが、現実世界の中国(もとい、中華文化一般)がモデルとなっていることは火を見るより明らかだろう。


ファンタジーでたびたびモチーフにされるということは、それだけ西洋文化に対しての中華文化の独自性が際立っており、今なお魅力的だということを示している。二つの文化のコントラストはあまりに強く、いかにもファンタジー的なのだが、これが現実の歴史上に顕然と存在していた事象なのだから恐れ入る。

制度も、振る舞いも、衣食住も全く異なる文化・文化圏というものが、かつての世界には確かに存在していたが、現在はその多様性の大部分が少なくとも見た目上は失われてしまって久しい。世界中の人が同じような「洋服」を着ていることは、その顕著な例の一つだ。


19世紀以降、グローバル化が始まるよりも前の世界は今よりも遥かにバラエティーに富んだものであったのだろう。無論、多様だから素晴らしいというような単純なものでないし、FACTFULNESSにもあった通り世界はより豊かな方向に向かっていて、それは歓迎すべきことだ。

ただ、逃した魚の大きさを思い、失われた多彩な文化を思い、しみじみとした気分になっているのだ。