いけずのいけす

すっきり整った暮らしを夢想するアラサーゆるゆるオフィスレディです。

ゆーて熱海は国内外の観光客が増えて最近人気復活中らしいですけどね

熱海に出張に行った。
熱海、前回来たのはおそらく大学2年生の頃だ。かれこれ8年ほど前になるだろうか。

 

ちょっとした地方都市に行くとよく思うのは、人と同じく、街も歳をとるということである。
そしてこれまた人と同じく、歳の取り方にも良し悪しがある。

 

あまりめでたくない歳の取り方をした場合、街には古いままで更新されていないか、あるいは使われている形跡のない建物が多い。
閉業したスナックや小売店が並ぶシャッター通りを想像してもらえれば伝わるだろうか。そのシャッターにすら錆が浮いていて、長く動かされていないことがはっきりと分かったりする。地方都市の衰退が叫ばれて久しいが、衰退とはまさしく読んで字のごとく、一気に起こるものではなくて、街の中に古く色褪せて活力を失った部分が少しずつ増えていって、徐々に徐々に勢力が衰えて、やがて死に向かっていくのだと、景色が雄弁に語ってくれる。

 

一方、わりといい歳の取り方もある。東京にも実は築50年を超えるような小さな古ビルが多いのだが、かといってそこに「衰え」をさほど感じないのは、そういったビルが今もバリバリ使われており、それなりに手が加えられているからであろう。
更に、大陸はヨーロッパに目を転じれば、ヨーロッパの街も建物の古さは筋金入りだが(何せ現役の市庁舎が築500年、みたいな土地柄だ)、そこにあるのは寂寥感ではないことは、押し寄せる観光客の数を見ても明らかだ。

 

仮に経過年数が同じだとしても、「歴史を感じる風情ある街」となるか「古ぼけて寂れた街」となるかは、ひとえに「人の気配を感じるか」にかかっている。
訪日観光客が増えている昨今、全国多くの街が復活の希望を観光に見出して政策を打ち出しているが、観光客を惹きつけるためにやるべきは、新しく立派な施設を造ることではなく、既存の街に「人の気配」を蘇らせることだと思う。それが難しいことは百も承知なのだが、持っておくべき視点であることは間違いない。